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ガラガラポン日記

複雑になってしまった問題を、一度ゼロにして、考え直してみる。

「臨終の相」に関する慣習を否定する。

仏法・創価学会 「死」について。

 私の住む地域で、高齢の方が病気で亡くなった。

 その家族と偶然会った際に、妻がお悔やみの言葉を申し上げたところ、返事の中で「(亡くなった人の)顔がきれいでした」という話が返ってきた。

それに対して妻は、「それは良かったねぇ」と答えていた。

 

このやり取りの背景には、お互いに「ソウカ」のメンバーで、日蓮正宗系の宗派に見られる「臨終の相」「成仏の相」という捉え方をしていることが影響していると思われる。

  

例えば、「日蓮正宗公式サイト」では、日蓮遺文(千日尼御前御返事)の解説として、 

また臨終の相について、地獄に堕ちる者は色が黒くなって体が重くなり、善人は大きな女性でも、色の黒い人でも、臨終には色白となって、鵞毛のように軽く、兜羅緜のようにやわらかくなることを御教示されています。

と書いてある。

 

また、一般信徒の捉えている「成仏の相」として、ある法華講の方のブログには、

成仏の相とはいかなるものか、と申しますと、まず臨終を迎える姿においては、悶絶・狂乱等の悪相をまったく現ずることがなく また遺体の状態においては、形を損ぜず、生前よりも美しい色白となり、眠るがごとき半眼半口で、身体が生前以上に柔らかく、死臭すらないのであります。

と書かれている。

 

ちなみに、「成仏の相」及び「半眼半口」については、ブログ「斧節」の「成仏の相/半眼半口について」が非常に参考になる。

 

過去に、日蓮正宗に所属していた歴史を有する「ソウカ」に所属する人たちであるから、冒頭のようなやり取りが出てきたのであろう。 

 

 しかし、個人的に思うに、臨終の相だけで、その人の一生を判断するというのはいかがなものか。

 そのような慣習というか物語は慎んでいただきたい、と強く思う。

(あと、「成仏とは何か」という論点もありますが、これについては別の機会に。)

 

 

 高齢者の「臨終の相」については、社会保障研究所の井上勝也氏の論文「終末介護の諸問題」(PDF)の表9「臨終時の表情」(P445)に関連して述べられている部分がある。

およそ70%の老人は、「安らか」な表情で死を迎えている。「苦痛」は約11%、「興奮緊張」は1.5%にすぎず、「無表情」が14%、「その他」が0.5%である。

 

 また、様々な年齢や原因で亡くなった方の死後の状態について、医学的な視点から書かれた資料としては、「法病理学講義ノート(2014年度版)」(青木康博氏)が参考になる。

 2.1.1 死斑(livor mortis, livdity, postmortem hypostasis)

 血流停止後,重力により血液は血管内を就下(hypostasis)する。これが死斑として体表面から観察される。

 

2.1.2 死体硬直(rigor mortis,死後硬直 postmortem stiffening of the body)

 死後時間の経過とともに骨格筋は次第に硬くなり,関節を動かすのに抵抗が生ずる。こ れを死体硬直といい,完成すれば関節は固定される。その後筋肉は弛緩しはじめるが,こ れを硬直の緩解という。

 

 2.1.3 死体温(body temperature)

 身体の熱産生の停止により,死後死体温度は低下する。

 

 2.1.4 乾燥と角膜の混濁(cloudiness of the cornea)

 死体の体表から水分が蒸発するため,特に角膜・陰嚢・口唇等で顕著に現れる。死後一 見爪や毛髪が伸びたように見えることがあるというが,これは皮膚の乾燥によるとされ る。角膜の混濁も主として乾燥によるもので,特に開眼していると速く進む。

 

 

  その他に、顔面がいびつな形に変化して、死者が苦しんでいるような印象を受ける場合があるが、これは顔の筋肉がいびつに収縮するためであり、死後硬直の一種である、と何かで読んだことがある。

 

 また、逝去後、題目を唱えていると、身体が柔らかくなってきた、という場合があるが、それは、死後硬直後の緩解であると思われる。(「死後硬直 - Wikipedia」より「死後30時間から40時間程度で徐々に硬直は解け始め、死後90時間後には完全に解ける。」)

 

 

日蓮はなぜこのように「臨終の相」「成仏の相」に拘ったのであろうか?

これについては、高橋俊隆氏のブログ記事「浄土僧の堕獄死」が参考になります。

日蓮は、念仏を唱える僧侶たちの悲惨な死に方を見聞きして、「成仏の相」はこうあるべきだと考えていたようです。それが日蓮遺文に反映され、現代の日蓮正宗系の各宗派に影響しているものと思われます。

 

 これらのことを調べていくと「日本人の死生観・遺体観」「エンゼルケア」というテーマにも関連してきた。

これからの高齢者社会で、「死」と向き合うことは必然的に多くなる。その時のためにも、合理的な死生観・遺体観を身につけていくことが必要と思う。

下記に、参考になりそうな本を載せておきました。私も機会があれば読んでみたいと思っています。

説明できるエンゼルケア: 40の声かけ・説明例 (看護ワンテーマBOOK)

 

ご遺体の変化と管理―“死後の処置”に活かす