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ガラガラポン日記

複雑になってしまった問題を、一度ゼロにして、考え直してみる。

ブログ『進工舍の人びと』より~新成人へのメッセージ(柳美里)

身の周りの出来事

 今日は、「成人の日」。

 朝、除雪した後、何気なくTwitterを見ていたら、ana_gonさんのツイートが載っていた。

 そこには、作家の柳美里(ユウ ミリ)さんが、2012年、福島県南相馬市の新成人に贈ったメッセージが紹介されていた。それを読んで感動したので、急いでこの記事を書いています。

 

ブログ『進工舎の人びと』~「悲しみ、苦しみを、誇りに」より、一部引用させていただきます。

 成人おめでとうございます。

 わたしは柳美里という者です。小説を書いています。書くことを仕事に選んで、今年でちょうど25年になります。(中略)

 演出家の東由多加さんは、私にこう言いました。

 あなたの家族のことも、これまでの出来事も、人には知られたくないマイナスのことだったでしょうが、演劇をやっていくのなら、すべてがプラスにひっくり返るでしょう。あなたはこれまでの悲しみ、苦しみを誇りにしたほうがいい――。

 

 わたしは、在日韓国人として生まれ、小学校、中学校と烈しいいじめに遭いました。(中略)

 わたしは中学二年のときに、精神のバランスを崩し、学校を無期停学になって精神科に入院しました。何度か家出をして、自殺を試みたこともあります。そして、15歳のときに、この言葉に出会ったのです。

 「これまでの悲しみ、苦しみを、あなたは誇りにしたほうがいい」と。

 悲しみや苦しみに直面すると、なぜ生きているんだろう、なぜ生きなければならないんだろう、という問いを、自分自身に突きつけます。それはとてもつらいことです。けれども、悲しむこと、苦しむことは、物事を考えるうえでの切り口になります。生きることは何かという、その問いが、生きる姿勢を支えてくれるのだと、わたしは思います。

 

 去年の3月11日から、未来が切り落とされ、希望が切り刻まれる瞬間の連続だったと思います。

 わたしは、みなさんに同情はしません。とても同情するなんてことはできません。みなさんはこの十ヵ月間、一人ひとりの頭で悩み、一人ひとりの心で悲しみ、苦しみぬいてきたからです。

(中略)

 みなさんには、誇るべきものがあります。そして、みなさんの前には今、大きな壁があります。決して安心してもたれかかることができるような壁ではありません。けれど、みなさんが誇りさえ手放さなければ、きっといつか、この大きな壁を乗り越えられる、壁を背にして歩き出せる、壁をふり返られるときが必ず来ると思います。わたしは、そのときまでみなさんの悲しみに、みなさんの苦しみに、みなさんの誇りに、寄り添いたいと思います。

 成人、おめでとうございます。

 わたしは、特に 「わたしは、みなさんに同情はしません。とても同情するなんてことはできません。みなさんはこの十ヵ月間、一人ひとりの頭で悩み、一人ひとりの心で悲しみ、苦しみぬいてきたからです。」という一節に同意します。

 

 きのうも、テレビで被災地の成人式の様子が報道され、新成人がインタビューに答えていました。東日本大震災がなければ、どこの放送局も来なかったような小さな町の成人式です。テレビ局の意図は見え見えです。インタビューに答える若者には、模範的な回答を期待しているのでしょう。その様子を見ていて、テレビ局に対して何か怒りに似た感情がこみ上げてきました。

 その翌日に、このメッセージを見たとき、何かホッとするものを感じたのです。

 

 「これまでの悲しみ、苦しみを、あなたは誇りにしたほうがいい」 ・・・いい言葉だ。