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ガラガラポン日記

複雑になってしまった問題を、一度ゼロにして、考え直してみる。

読書メモ『日本戦後史論』

  『日本戦後史論』(内田樹(たつる)、白井聡 徳間書店 2015年刊)を読んで、日本がなぜアメリカに従っているのか、その複雑な心理状態というものが少し理解できたような気がする。

 

    私の高校時代は、テレビのニュースで「全学連」のデモ行進や安田講堂の攻防が流れていた。その当時は、打倒米帝国主義という言葉が氾濫していた。しかし、最近はそんな言葉はどこにも見当たらない。それどころかアメリカ追従の政治がはびこり、韓国、中国を嫌う発言が多くなっている。

 

    先日の、アメリカ大統領選挙の開票速報を見ていて、ここはいったいどこの国なんだ❗ と思ったほどだ。

 

   安倍首相の「戦後レジームからの脱却」路線はどこか破局願望によって駆動されているという印象を僕は抱いています。このあと仮に尖閣で日中間で偶発的に軍事的衝突があったら、安倍首相はすぐに国家安全保障会議を招集して、安全保障に関する全情報を特定秘密に指定して、報道管制を敷くでしょう。NHKニュースが「日本領海内において、重大事案が発生。日本政府は迅速かつ適切に対処しつつあり。以下、続報を待て」というような大本営発表をしておしまい。国会も召集されないし、メディアも何も報道しない。国民も国会も何も知らないうちに、戦争がどんどん既成事実化してゆく。戦争が起きたら、もう止めようがない。僕たちのようなのが「バカなことはやめろ」と言っても、のぼせ上がった人たちや好戦的なメディアに袋叩きにされるだけです。内閣支持率はうなぎ上りに上がって、反戦、非戦論者は「非国民」扱いされる。そういう事態になるのは目に見えているにもかかわらず、その方向にまっすぐ向かっているというのは自己破壊願望、破局願望に駆り立てられているとしか思えない。(内田  p121〜122)

 

    日中間で軍事的フリクションが生じた場合にも米軍は出ない。アメリカには中国と戦争して得られるメリットなんか何もありませんから。でも、アメリカが対中宣戦布告しなければ、次は日本国内の世論が一夜にして「反米」に染まってしまう。戦後70年間「対米従属を通じての対米自立」路線を無思慮に歩んできたことの無意味さに国民的規模で気づいてしまう。そのときこそ久しく抑圧され隠蔽されてきた日本人の反米感情が一気に噴出する。「安保条約即時廃棄、駐留米軍基地即時撤去、自主核武装」といつた威勢の良いスローガンを喚き散らす人たちが出てくる。日米安保が空語だったということがひとたび露呈してしまったら、このスローガンに反論することはもう不可能です。こうなったら世界中全部敵だ、中国でも韓国でも北朝鮮でもアメリカでも、どこからでもかかって来い。こうなったらみんなまとめて戦争だ、というような常軌を逸した言葉に国民達が熱狂し始める。別にそれほど奇矯な話じやありません。すぐ横に北朝鮮というモデルがあるじゃないですか。日本を北朝鮮にすればいい。北朝鮮より金があって、テクノロジーがあって、兵隊の頭数が揃っているんだから、北朝鮮よりもさらに「強面」な国になろうと思えばなれないはずはない。「どうですみなさん、日本を北朝鮮みたいな国にしたら。民主制なんか要らないでしょ。独裁でいいじゃないですか。核武装して、徴兵制を実施して、周りのアジアの国々をまた踏みにじってやろうじゃないですか。そうしたらもう二度とどこからも侮られることはありませんよ」というような妄言を耳にしたら、ふらふらとそれに頷く人たちが出てくるに違いない。「それでいい、その方がいい、今の日本よりずっとましだ。なるほど『戦後レジームからの脱却』とは日本の『北朝鮮化』のことだったのか。これこそが『美しい国』の実相なのか」と喜ぶ国民が出てきます。(内田  p127〜128)

 

    読んでいて、これは「悪い冗談」だと思いたいが、心のどこかで、これはあるかも❗ という気持ちもある。決して絵空事ではないのだろう。何か不穏な雰囲気になってきたなあ。この国は。

 

   南スーダンに派遣されている自衛隊の人たちが、無事に帰国することを心より願う。

 

日本戦後史論

日本戦後史論

 

 

 

日本戦後史論

日本戦後史論

 

 

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